自己紹介にも記載しておりますが、私は新潟生まれ新潟育ちの新潟県民です。
大学から20代後半までは大阪で過ごしましたので生粋ではありませんが新潟県民ではあります。
新潟で生まれ育ち、その後外から新潟という町を見た経験のある人間として新潟ってどんな街なのか、良いところを挙げながら時にディスりながらご紹介していきたいと思います。
■何と言ってもお米でしょ?
新潟県に住む県民以外の皆さんの考える新潟県のイメージは「米どころ」でしょう。
確かに新潟県は米どころです。
作付面積と生産量で北海道を抑え全国1位を守り続けています。
全国シェアで言えば約8%を占める米王国、それが新潟県です。
お米がアイデンティティと言える、むしろそれしかアイデンティティが無いと言ってもいい新潟県ですがそれ故にお米を使った産業が発達しています。
その最たるものが米菓です。
新潟県内には亀田製菓を筆頭に栗山米菓、三幸製菓、浪花屋製菓、ブルボンなど数多くの製菓メーカーが本拠地を構えます。
日本に住んでいる方でせんべいや柿の種などの米菓を食べたことがないと言う人は少ないと思います。
米どころ新潟は古くから愛される米菓の本拠地ともいえます。
またお米を使った新潟県の特産品と言えば日本酒です。
日本酒は言わずもがなお米から醸造されます。
となると米どころ新潟は必然的に日本酒造りが発展しやすく今や日本最大の日本酒のイベントを開くまでの一大産業になりました。
県内には89軒もの酒蔵がありそれぞれの酒蔵で特色のある日本酒を製造しています。
朝日酒造の「久保田」や八海酒造の「八海山」などは全国各地の日本酒コーナーにも並ぶ新潟を代表する日本酒です。
新潟の日本酒は「淡麗辛口」と表現されるキレのいい飲み口が特徴です。
甘口の日本酒が栄えていた時代に淡麗辛口の新潟の日本酒が登場したことで日本酒好きの間ではちょっとしたブームが起こるほど印象深い酒、それが日本酒なのです。
■新潟って豪雪地帯でしょ?その通りです
新潟県民以外の方に新潟のイメージでお米以外は?と尋ねると大体の方から出てくるイメージは豪雪地帯だと思います。
日本人初のノーベル文学賞受賞者、川端康成さんの小説「雪国」の冒頭に登場するこのフレーズはあまりにも有名ですよね。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」。
この国境というのは新潟県と群馬県の県境を指しているようですが、確かにこうして語られるほど新潟県は全国屈指の豪雪地帯です。
冬場に大雪が降るというニュースが流れる場合、大体新潟が豪雪地帯として紹介されます。
確かに県境に近い津南町や魚沼市、南魚沼市、湯沢町、妙高市などは豪雪地帯の呼び名に相応しい大雪が降ります。この辺りは多い時でおよそ4mの高さまで雪が降り積もりますがそこに住む人々にとっては冬の日常なので別段珍しいことではありません。
また新潟市や柏崎市などの沿岸部では山沿いが大雪でも2mも3mも積もることはありません。
私のこれまでの経験でも50cm程度の積雪が最高でちょっと雪かきをすれば生活に支障が無いんです。
ちょっと、と言っても車社会の新潟県では朝出勤前に車を出すために30分ほど雪かきをする必要があります。
大雪と聞くと大変なイメージがあるかもしれませんが新潟県には山沿いを中心に多くのスキー場が点在しています。
スキー場から見たら大雪は災いや煩わしいものではなく「天の恵み」とも言える大切な資源なんです。
逆に山沿いでまとまった量の雪が降らなければスキー場は営業できず、それによって廃業になってしまう恐れもあります。
県内のスキー場には海外からも多くの観光客が訪れるため大雪というのは一括りに災害などではなく場所や人によっては経済を活性化させる大切な恵みなんです。
■観光地?ありません!
新潟県に住む私は観光で新潟を訪れる方に訊いてみたいことがあります。
それは何をしに来たのかということです。
新潟県で生まれ育った私が断言します。
新潟県にめぼしい観光地はありません。
佐渡という名前を聞いたことがある方は多いでしょう。
佐渡ヶ島は新潟県の観光地として知られていますが何か有名な観光地があるの?と訊かれた新潟県民の多くは金銀山の遺跡や砂金取り体験ができる施設を挙げたら後は何も出てこないと思います。
佐渡の金銀山遺跡は江戸時代には日本有数の鉱山として栄えましたが今はもう採掘されていません。
そのためそういった遺跡をみてもただ歴史に触れるしかないため正直玄人向けの観光地と言わざるを得ません。
これだけディスってきましたが佐渡の金銀山遺跡は世界遺産への登録が進んでいますので新潟を訪れた際は一度見てみるのもいいかもしれません。
佐渡以外で何か観光地は?と新潟県民に訊ねると多くの県民は言葉に詰まります。
新潟県にはそれくらい観光地がないんです。
そんな何もない新潟県で私がたった一つだけおススメするのは夕日です。
日本海側は山から日が昇り海に日が沈んでいきます。
新潟県で生まれ育った私はお正月にニュースで取り上げられるご来光や海からの初日の出に何の価値も見出せません。
ご来光や初日の出が好きな方には申し訳ないのですがそれらを見たことがない私はその美しさを理解できないと思います。
その代わり日本海に沈む夕日の美しさを知っています。
夏は夕日をバックにコンサートも行われています。新潟で何を見ればいいのかわからないと思ったら一度夕日を見に来てください。
きっと気に入ってもらえると思います。
■新潟はラーメン王国
新潟県にはラーメン屋さんが非常に多いです。
米どころ新潟では普段自宅でご飯を食べることが多いため外食では麺類を求める人が多いといいます。
そのため新潟県はラーメン文化が発達し県内では5大ラーメンと呼ばれるジャンルのラーメンが誕生しました。
新潟市を中心に提供される「あっさり醤油ラーメン」や長岡市を中心に食べられている「生姜醤油ラーメン」、燕市発祥の「背油ラーメン」に割りスープを楽しむ「濃厚味噌ラーメン」、そして国民食の禁断合体「カレーラーメン」と地域によってその味わいは千差万別です。
また5大ラーメンには数えられませんが麻婆豆腐とラーメンが合体した「麻婆麺」も専門店がオープンするほどの人気を得ています。
米どころ新潟という地域性から新潟市を中心に「ラーチャン」というあっさり醬油ラーメンと炒飯を一緒に楽しむという食べ方もあります。
あっさり醬油ラーメンはスッキリとした味わいが人気ですが男性を中心にそれだけでは物足りないという人も多く自然とラーメンと一緒に半炒飯を頼む人が増えました。
そして今では「ラーチャン」というセットを主力商品に据えるラーメン店もあります。
新潟県の人口に対するラーメン店の店舗数は全国でもトップクラスで2021年のデータによると人口10万人当たりのラーメン店舗数は37.7軒と全国でも2位の多さを誇ります。
また総務省の家計調査によると2021年、新潟市民のラーメンにかける外食費用は長らく1位を独占してきた山形市を抑え1位となりました。
店舗数の多さやラーメンにかける費用の多さからも新潟県はラーメン王国だということがお分かりいただけることかと思います。
新潟県はお米と新鮮な魚介類が美味しいため来県する方も美味しいお寿司を目当てに来られる方も多いかと思います。
しかし毎食お寿司では飽きてしまうでしょう。
そこで5種類もあるご当地ラーメンから食べてみたいと思えるようなラーメンを選びお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。
■見どころがあるようでない、ないようである味わい深い県、新潟
新潟で生まれ育った私が新潟県の良いも悪いも織り交ぜながら新潟県を紹介してまいりました。
表面的な情報だけでは表現しきれない県、それが新潟県だと思います。
そんな味わい深い新潟県のことを今後もご紹介していきたいと思いますのでぜひご覧ください。